
データアナリストになりたくて勉強を始めたわけでも、参考書を開いて体系的に学んだわけでもありません。何も分からない状態のまま、まず触ってみるところから、私のTableau学習は始まりました。
大学生のころ、MOS(Microsoft Office Specialist) Excel 2016 Expertの資格を取りました。そのためExcelには触れたことがあり、基本的な関数や表計算もできる状態でした。
一方で、プログラミングの経験やデータ分析をした経験はありませんでした。「BIツール」という言葉すら聞いたことがありませんでしたし、Tableauという名前も知りませんでした。
そんな私がTableauに出会ったのは、就職した会社でのことです。「Tableauというツールが良いらしい」という話が社内で出て、試してみる担当になった私が、お試し期間のアカウントを作ってもらいました。「とりあえず使ってみて」というところが、私のきっかけになりました。
分からないまま、とにかくTableauを触ってみた
最初に、すでにTableauを使いこなしていた人から、どんなツールなのか、何ができるのかという概要を教えてもらいました。ただ、そこから講座や参考書で基礎を固めるという手順は踏んでいません。基本的には、自分で実際に使って身につけていきました。
Tableau PrepとDesktopに触れてみた
まずTableau Prepを使って、Excelのデータをつなぐところから始めました。この時は、データ分析やTableauのデータ構造について、詳しいことはまだ何も分かっていませんでした。
次にTableau Desktopを開きました。「ディメンション」も「メジャー」も何のことか分からないまま、とりあえずフィールドをビューに置いてみました。すると、数字が表示されたり、表になったり、グラフになったりしました。何が起きているのか、何を表現できているのかは十分に理解できていませんでしたが、「なんかすごそう」と感じたことは今でも覚えています。そこから、何を置けばグラフになるのか、置く場所を変えると表示がどう変わるのかを、自分であれこれ試しました。
計算フィールドで試行錯誤した日々
計算フィールドにも挑戦しました。Excelで簡単な計算式を書いた経験があったので、「今使っているデータで、この数値を出すにはどんな式を書けばいいんだろう」と考えながら試しました。Tableauの計算フィールドを開くと関数の使用例が表示されるので、それを見ながら試しては直すという繰り返しでした。
当時はパラメーターの使い方も知りませんでした。そのため、本来なら適宜変更できるように設定したい数値を、計算フィールドの中に固定値として書いてしまうようなこともしていました。今ならパラメーターを使えますが、当時は「まず必要な結果を出すこと」を優先していたのだと思います。
エラーは検索と質問で乗り越えた
エラーが出たときは、まずネットで検索しました。自分で調べて、式を書き直して、エラーが解消されるかを試しました。それでも解決できないときは、すでにTableauを使いこなしている人に質問しました。ここで大事だったのは、「こう直せば動く」という答えだけを聞くのではなく、「なぜそれで解決するのか」まで説明してもらったことです。たとえば集計と非集計が混在してエラーになったときは、自分で調べても理解できず、原因の解説をお願いしました。
自分で調べて試す、どうしても分からなければ詳しい人に聞く、なぜ解決するのかまで理解する、という繰り返しで、少しずつ操作を覚えました。
「作りたいもの」ができてから、Tableauを覚える速度が上がった
初めて任されたダッシュボードで感じた手応え
お試し期間にひと通り触ったあと、お客様の実際のデータを使ってダッシュボードを作る機会がありました。営業部から「こういうことを知りたい」「この数値を出したい」「このグラフを見せたい」という要望を聞き、それに応える形で作ったのが最初です。
今振り返ると、そのダッシュボードはかなりシンプルなものだったと思います。参考にしていた、他の人の作り込まれたダッシュボードとは全然違いました。それでも当時の私には、「頼んでもらった要望に、自分で応えられた」という満足感がありました。この経験が、Tableauを楽しいと思うようになった大きなきっかけです。
依頼を重ねるたびに、必要な機能を覚えていった
その後も、別のお客様から分析用データをもらうたびに、新しいことを覚えていきました。慣れると、Tableauの機能を勉強すること自体が目的ではなくなりました。「この数値を出したい」「こういうグラフにしたい」「この課題を解決したい」という具体的な目的が先にあり、そのために必要な機能や関数を、その都度身につけていました。
こうして実務を重ねるうちに、Tableauの操作だけでなく、「どう見せれば伝わるのか」を調べ始めました。たとえば費用対効果を見せたいときは、他の人がどう表現しているのかをTableau PublicのVizやネットの画像検索で確認して、自分で真似て作りました。
ダッシュボードの組み方も分からなかったので、「Tableau ダッシュボード」といった言葉で検索し、出てきた他の人の作品を参考にしていました。当時は、レイアウトや配置の考え方を、今のように理解していたわけではありません。
なお、私はこの学び方を「完全独学」とは思っていません。自分で調べたり試したりした部分は確かにありますが、他の人のVizやダッシュボードを参考にしたり、詳しい人に質問して解説してもらったりした部分も大きいからです。実際に近いのは、「自分で調べ、実際に触ることを中心にしながら、分からないところでは詳しい人の力も借りた」という表現だと思います。
顧客向けの費用対効果分析と異常検知ダッシュボード
前職では、お客様へ費用対効果を示すダッシュボードや、製品の異常を検知するダッシュボードなど、いくつかの実務でTableauを使いました。どちらも、担当者から要望や判断基準を聞き取りながら作っていました。
特に異常検知のダッシュボードでは、何を異常と判断するのか、基準値をどこに置くのか、どんなレイアウトだと確認しやすいのかを、作り始める前に担当者と話し合っていました。当時は「事前のすり合わせが重要」という意識を持っていたわけではありません。ただ今振り返ると、このすり合わせがあったからこそ、必要な計算フィールドや異常判定の条件、ダッシュボードの配置などで大きく迷わずに作れたのだと感じています。
実務で使えていても、Tableauを「理解している」とは限らなかった
資格勉強で気づいた「知らないこと」の多さ
前職では、ほとんど毎日Tableauを触っていました。次第に、「こういうものを見せたいなら、こう作ればよさそうだ」と考えられる程度には慣れていきました。
ところが、その後Tableau Certified Data Analystの資格取得を目指して勉強を始めたとき、覚えなければならないことの多さに驚きました。理由ははっきりしていて、「実務でTableauを使えること」と「Tableauを体系的に理解していること」は、同じではなかったからです。
普段当たり前のように使っていた機能の正式名称を知らなかったり、操作はできるのになぜそう動くのかを説明できなかったりしました。実際にビューやダッシュボードを作ることはできても、人に教えられるほど理解しているわけではないと感じました。
「使える」と「理解している」は別の段階だった
資格取得の順番も、一般的にイメージされるものとは逆でした。私の場合は、まず実務でTableauを使いながら、必要なものを作って覚えました。そしてある程度使えるようになったところで、資格勉強によって知識を体系的に学び直しました。資格取得はTableau学習のスタート地点ではなく、実務経験を経てから知識を整理し直す段階だったと感じています。
資格に合格したからといって、Tableauをすべて理解できたわけではありません。その後もLOD表現やデータの結合、リレーションシップ、データの粒度、ダッシュボード設計といったテーマについて、改めて学び直す経験を重ねています。「知っている」「使ったことがある」「正しく理解している」「状況に応じて使い分けられる」は、今でも別のことだと考えています。
資格取得や、Tableauの機能などについては、Tableauの関連記事で個別に取り上げています。
まとめ
Tableauを使えるようになるために、最初からすべての機能を理解しておく必要はありませんでした。まず触ってみて、作りたいものができるたびに調べる、という繰り返しが実務で使えるようになるための、私にとっての近道でした。ただ、実務で作れることと、仕組みを理解して人に説明できることは別でした。だからこそ、資格勉強で学び直す経験にも意味があったと感じています。
今Tableauに触れ始めたばかりの方に、「最初から全部分かっていなくても、まず触ってみればいい」ということが伝われば嬉しいです。同時に、使えるようになった後も、体系的に学ぶ意味はあると思います。BIツールについて未経験でも、今の仕事や身近なデータで、小さく触ってみるところから始めてみてください。
著者
名前:minoRi
非エンジニアで、Tableauの存在すら知らないところから独学に近い形で学び、Tableau Certified Data Analystを取得しました。現在はTableauに加え、Looker StudioやGA4なども扱いながら、データ分析や可視化に携わっています。当時の「何も分からなかった自分」を思い出しながら、同じ立場の方に向けて記事を書いています。